Nash_Keiss’s diary

無職の虚無ブログ。自称小説家

頭痛

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皆さんは頭痛になったことがおありだろうか
偏頭痛持ちだろうか
低気圧に悩まされているだろうか

ぼくは今まで頭痛になったことがなかった
せいぜい眼の使いすぎでジンジンするくらい
こめかみをグリグリやって疲れたモーと言う
今から考えれば、そんなの頭痛のうちに入らない

ぼくは頭痛というものをなめていた
偏頭痛でつらいという人を見ながら、どうせ大したことないんだろうと思っていた
「なんかズキズキするぅ~」という程度だと思っていた
そうじゃない
頭痛は明確な痛覚だ
リアルな痛みだ
本物の苦痛だ
犬に噛まれて血が出たときと同じように、タンスの角に小指をぶつけたときと同じように、階段から転げ落ちて骨折したときと同じように、頭痛は痛い

ぼくが味わっている頭痛を追体験する簡単な方法がある
腕をたたみ、ファイティングポーズをとり、ステップを刻む
おもむろに自分の頭にむけてジャブを打つ
ストレートを打ち、アッパーを打ち、カウンターを決める
ファイト・クラブ」よろしく自分を殴る
後先考えず思い切り殴る
おすすめは後頭部だ。ぼくの痛みも後頭部にある
みんなもやってみてくれ
苦しみをシェアしよう

痛みが襲ってくるのはだいたい10秒に一回だ
楽なときは20秒ごとだ
ひどいと5秒に一度になる
陳腐な比喩は使いたくない。それは純粋な痛覚だ。熱を持っていて、とても強い
ぼくはどうにか我慢しようと歯を食いしばる
だが声がでてしまう
ウッ!とかアァッ!とかンッ!とか
まるで赤子か知恵遅れのように
胴を丸めて痛みに耐える
惨めに布団の上で縮こまる
過ぎ去り、しばしの安らぎが与えられる
10秒後、再び襲う
その繰り返しだ

いまもぼくの後頭部には痛覚の波が押し寄せている
タイプする指は10秒ごとに中断され、思考は10秒ごとに寸断されてる
処方薬を飲んだが効く気配はない この頭痛は三日前から続いている
偏頭痛持ちの人々の中には、この頭痛が日常であり、もはや慣れてしまったという人もいる
頭痛のあまり目がくらみ、嘔吐することもあるという
考えるだに恐ろしいことだ
絶対にそうはなりたくない
一時的な症状だと信じたい
こんな日常は嫌だ
頼むから薬が効いてくれ
ちゃんと治ると言ってくれ

人生に苦痛は多く、幸福は少なすぎる

身体が、生活が、社会が苦痛を生んでいる

苦痛は確かな基盤を持っている

幸福は弱々しく、吹いたら飛んでしまうほどに軽い

苦痛はあらゆる部分から現れる

我々は苦痛の裡に生まれ、苦痛の裡に死ぬ

幸福の総量が苦痛の総量を上回ることはない

上回ることは〈決して〉ない

助けてくれ

だれか人間を助けてくれ